5月24日、「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」の第2戦が横浜アリーナで行われ、 GAME1を落として後がなかった長崎ヴェルカが66-60で琉球ゴールデンキングスを下し、レギュラーシーズンリーグ最高勝率の意地を見せた。節目のBリーグ開幕10シーズン目で、頂上に立つクラブは果たして-運命の結末は、26日の第3戦へと委ねられた。

この日の立ち上がり、9-0のランで飛び出した琉球の勢いを止めたのがイ ヒョンジュンだった。代名詞の3Pシュートでチームに初得点をもたらすと、5分後には「外」を警戒したディフェンダーの動きを逆手に取るように、ドライブでペイントエリア内に侵入。技ありのダブルクラッチで会場を沸かせ、漏れなくバスケットカウントワンスローも決めた。
その後も、ヒョンジュンの勢いは止まらない。
この日、2本目の3Pシュートを成功させ、出だしのビハインドを帳消しにすると、1Q終了間際には3Pシュート中にファウルをもらい、しっかりフリースローを3本成功。このクオーターだけで12得点をあげ、チャンピオンシップ初戦から続いていた、フリースロー連続成功記録を「41本」に更新した。
途切れたフリースロー連続記録。それでも笑顔だった理由

記録を、本人がどれほど意識していたかは分からない。だが、連続記録にはいつか終わりが来るものだ。
その時はあまりに突然で、それも自分で得たフリースローではなく、相手HCのテクニカルファウルで得た1本だった。背中にキングスファンの強烈な圧を感じながら、いつも通りのルーティーンで放ったシュート。リングの縁を何度か叩いたボールは、やがて3m05cm下のフロアへと落ちた。
だが、ほどなくしてヒョンジュンは笑顔を浮かべていた。一体、どんな心境だったのだろうか。
「正直、気分は悪くなかったよ。次は決める自信があったからね。だから笑っていられたし、全く悔しくなかった」
ミックスゾーンでも、男は笑っていた。“また1本ずつ積み重ねていくだけ”。そう言わんばかりに、シュートへの自信を覗かせて。

フリースロー好調の裏にあった、ルーティーンの見直し
実はフリースローは、シーズン後半にかけて大きく改善していったという。その理由について、会場に駆けつけていた彼のエージェントが、興味深いエピソードを教えてくれた。
「何が起きているんだろう、と。彼の母も含めて原因を探したんだ」
2月のFIBAブレイクのことだった。普段より確率が落ちていたフリースローに対し、彼らは映像を50〜60本ほど見返したという。そこで見つかったのが“最後の瞬間のズレ”。フリースローを打つ前にドリブルを3回付くルーティーンは、もはやBリーグファンにもお馴染みだが、それ以前は2回だった。そして、その2回目のドリブル後の動作に、問題はあったという。
「最後の瞬間に毎回ポジションが変わっていたんだ。試合中のジャンプシュートのような感覚で、急いでシュート動作に入っているように見えた。その結果、シュート直前で毎回微妙に手の位置を修正してしまい、フォームが安定していなかったんだと思う」
シーズン中ではあったが、母とエージェントはルーティンとフォームの修正をヒョンジュンに提案した。ポイントはシンプル。
“ボールを上げながら整える”のではなく、“先にボールを手に収めてから上げること”
従来の「2ドリブル」から「3ドリブル」のルーティンへ変更し、より時間を使って落ち着いてからシュートを打つ形に変えた。ディティールにまでこだわった修正でフォロースルーの形は安定し、フリースロー成功率もみるみる安定していったのだ。
開幕〜2月:77/99 (77.8%)
3月〜5月:60/68 (88.2%)
“リーグ最高のシューター”を超えた存在へ。鍵を握るイ ヒョンジュンの献身性
無論、彼の3Pシュートは最大の武器である。「47.9%」とレギュラーシーズンで残した驚異のスタッツが何よりその証左だが、相手マークが一段と厳しくなったシーズン終盤戦において、彼の価値が「シューター」という枠に収まらないことを、幾度となくこの目で見てきた。
「自分はリーグ最高のシューターだと思っている」
普段はあまり自分を高く見積もるタイプではないが、8本中2本の3Pシュート成功に終わった第1戦に続き、この日のミックスゾーンでも同じような言葉を口にしていた。
そして、こうも続けた。
「でも、自分ではシューター以上の存在だとも思っているんだ。リバウンドでもチームを助けられるし、正しいプレーもできるし、フリースローも決められる。だから、シュートが入らなくても勝てた事はとても大きいんだ」


ここまでチャンピオンシップ6試合で、2P・3P成功率は共にレギュラシーズンの数字を下回っている一方、リバウンドやフリースローなどでは平均を上回っている。たとえ絶対的な武器であるシュートが入らなくとも、泥臭いプレーでチームに貢献し、フリースローで己のリズムを整え、気づけばチャンピオンシップでは、レギュラーシーズン以上の得点力を示してきた。
【1試合平均】
〔レギュラーシーズン〕
17.4得点|2P:73.1% |3P:47.9%|FT:2.9本|リバウンド:5.6本
〔チャンピオンシップ〕
18.8得点|2P:59.1% |3P:37.8%|FT:7.7本|リバウンド:7.0本
迎える運命の第3戦。
長崎ヴェルカがクラブ初の戴冠へ辿り着く時、それはイ ヒョンジュンが“リーグ最高のシューター以上の価値”を、証明する瞬間かもしれない。
イ ヒョンジュン選手ドキュメンタリー
〔6月30日公開予定〕
▼編集前のNocutインタビュー先行公開中