創設5シーズン目にして、クラブ初の「B.LEAGUE FINALS 2025-26」進出を決めた長崎ヴェルカ。その快進撃の中心にいるのが韓国代表のエース、イ ヒョンジュンだ。

ここまでチャンピオンシップ(以下CS)4試合の1試合平均は20.3得点、8.3リバウンドと、レギュラーシーズンの数字(17.4得点、5.6リバウンド)をさらに押し上げ、代名詞の3PシュートはCSでも43.5%と健在。加えて、フリースロー成功は33本連続(レギュラーシーズンを含めると4/25のFE名古屋戦から40本連続)、驚異の成功率100%だ。
外からの得点だけでなく、201cmのサイズを活かしたペイントアタックや飛び込みリバウンドからの泥臭いプレーは、長崎ヴェルカのオフェンスに大きなうねりを生み出している。
5月15日、HOMEハピネスアリーナで行われたセミファイナルGAME1には、そんな母国のエースを応援する為に駆けつけた“特別な観客”の姿があった。昌原LGセイカーズに所属するユ ギサンとヤン ジュンソクだ。3月に沖縄で行われたワールドカップ予選Window2でも、韓国代表として共に戦った仲間たちの目には、異国の地で奮闘するエースの姿はどう映ったのだろうか。
「シーズンが終わったら必ず応援に来ると決めていた」

「韓国でもいつも映像を見ながら応援していた」
そう語るのは、ユ ギサン(写真・左)だ。彼らが観戦していたのは、記者席からちょうど反対側に位置する選手の関係者席。イ ヒョンジュンがシュートを決めるとハイタッチを交わし、喜びを爆発させる2人の姿を遠目で何度も確認できた。ユ ギサンはチャンピオンシップ仕様に膨れ上がった会場のボルテージにも感激した様子で「こんなに大きな舞台で活躍していることが本当に誇らしかった」と、笑顔を見せた。
ヤン ジュンソク(写真・右)にとって、今回の長崎訪問は以前から決めていた“計画”だったという。実は1月上旬、天皇杯への出場がなかったイ ヒョンジュンは束の間のオフを利用し帰国。KBL(韓国プロバスケットボールリーグ)で戦う彼らの試合へも足を運んでいた。「自分たちもシーズンが終わったら必ず応援に来ようと話していた」と、今回の観戦はその時のお返しに来た形だった。
この試合で、チーム最長の36分40秒をプレーし22得点を挙げたイ ヒョンジュンはMVPを獲得。場内でその名前が発表されると2人はすぐに立ち上がり祝福。大歓声を浴びながらコートを1周するイ ヒョンジュンを、どこか感慨深そうに見つめていた。

「間違いなく韓国代表とは役割が違う」
「特に印象的だった」と2人が口をそろえたのは、韓国代表とは異なる役割の中で見せたイ ヒョンジュンの献身性だ。
「韓国代表ではファーストオプションとしてボールを持ち、シュートも多く打つけど、長崎ヴェルカではシュートチャンスがなくても動き続け、ディフェンスやリバウンドで献身的にプレーしていた」とユ ギサンが驚きを見せれば、ヤン ジュンソクも「間違いなく役割が違うはずなのに、最善を尽くしている姿が印象的だったし、勝負所で貴重な3Pシュートを決める所を見ることができて良かった」と、韓国代表でもクラブでも変わらない勝負強さに感心した様子だった。

年々、成長を遂げているBリーグにおいて、シーズンMVPに選ばれてもおかしくないイ ヒョンジュンのセンセーショナルな活躍は、KBLでプレーする彼らにはどのような影響を与えているのだろうか。
ユ ギサンは、信州・宇都宮・仙台・茨城の4クラブでプレーしたヤン ジェミンの名前も挙げつつ「誰も歩んだことのない道を歩んでいて、先駆者として本当に素晴らしい。KBLの選手たちももっと努力して、世界レベルに追いつかないといけない」と、国を超えて身一つで戦う先輩たちの存在が刺激になっていることを明かした。
一方のヤン ジュンソクも「KBLとは違うレベル、違う環境の中でプレーしている」と間近で見たBリーグのレベルの高さに触れながら「その中でも自分の役割を示している姿は、自分たちKBL選手にとって大きな刺激であり、モチベーションになっている」と語った。
「イ ヒョンジュンは韓国バスケ界にとって灯台のよう」
高校2年の時に海を渡り、アメリカ、オーストラリア、そして日本と、異国の地で己の地位を確立してきたイ ヒョンジュン。あと2勝に迫ったBリーグ制覇を成し遂げれば、昨季のオーストラリアリーグ(NBL)優勝に続き、2年連続で異なるリーグで優勝を経験することになる。
ある韓国人記者は言う。
韓国バスケ界にとって彼の存在は暗闇を照らす「灯台」のようだと。その光は次世代たちの確かな道標となり、大きな希望となっている。

イ ヒョンジュン選手ドキュメンタリー
〔6月30日公開予定〕
▼編集前のNocutインタビュー先行公開中