今、この男のプレーには、37歳にして「全盛期」の呼び声も少なくない。
12月の琉球戦では、およそ3シーズンぶりの20得点オーバーに加え、13アシストのダブルダブル。序盤戦はチームとして苦しい戦いが続いたが、篠山自身は心の底からバスケをエンジョイしている。
「自分自身は昨季の途中ぐらいからシュートフォームの改善に着手して、今季も良い調子で来ています。シンプルに空いていたら打つし、ディフェンスが来たらドライブ。余裕を持ってオフェンスを展開できるようになっています。そういう意味では昨季より楽しく出来ているところはありますね」

「シュート力の向上」。
それは篠山が以前からテーマにしてきた、ベテランとして生き残り続ける為の必須条件だった。去年1月の取材では、今後の進化について聞かれ、こんな目標を話していた。
「シュートの確率を上げたいっていうのはあります。渡邉さん(宇都宮)もそうだし、文男(千葉J)さんもそうだし、ベテランガードはどこの選手見てもやっぱりシュートが入るんで。ベテランになればなるほどシュートを確率良く打てる選手でいないと、ここから生き残っていくるのはどんどん厳しくなる。結局、最後はシュートじゃないですか」
そしてこの取材から1ヵ月後。篠山はシュートフォームの改造に着手した。当時を振り返りながら、身振り手振りを交えて、その進化を教えてくれた。
「いわゆる2モーションから1モーションになったんですけど。マイケル・ジョーダンっぽいジャンプシュートから、ステフィン・カリーっぽくした感じです」
従来のフォームは、顔の前でボールを一度セットしてからシュートを放つ「2モーション」だった。それが改造後は、ボールを保持した状態から一連でリリースする「1モーション」に。フォームを改造した昨季2月のバイウィーク以降は、3Pシュート成功率「45%」と効果はさっそく数字に表れた。

何万本と体に染み込んだ、過去の残像との決別。それもシーズン中の勇気ある決断。大きなチャレンジに踏み切った背景には、自身が取り組むクリニック(88 Basketball)での、ある気付きがあったという。
「もう何十年も3Pシュートを練習してきて、それでもやっぱり疲れてくると短くなっちゃうんですよ。シュートの波も激しくて、『35%』前後を行ったり来たりしてて。でも、改めて子供たちに教える機会が増えて、自分よりちっちゃくてガリガリの子たちが、7号球を同じリングにどんどん入れちゃうんですよ。
自分の半分しか生きてないような子供たちが、自分よりよっぽど遠くにシュートをバンバン飛ばす光景を見て、なんかアホらしくなってきたというか。ふと『もう変えようかな』と思ってバイウィーク中に変えて、そこから好調が続いています」

フォーム改造により、シュートレンジは今まで以上に広がった。そして外の脅威が増せば、今度はディフェンスが寄る。
今季、二桁得点を記録した試合は、すでに昨シーズンを上回る13試合。加えて、1試合平均アシストはキャリアハイを推移し、篠山竜青本来の能力が今、より鋭く尖り、相手の脅威となっている。
「ピック&ロールにしても、相手が下がって打たされるっていうよりは、しっかりビッグマンも自分のディフェンダーも、僕のシュートを警戒して間合いを詰めてくれるようになっているので、ドライブしやすくなっているのは感じます」
「すごく心強いです」。進化し続けるキャプテンをそう評価するのは、勝久ジェフリーHCだ。
「自分としては『全員が脅威になる』というのを、チームに浸透させることが大事だと感じている中で、彼自身が発信し体現していく選手なので本当に心強いですし、毎年進化しているのが本当に彼のすごいところです」
ちょうど1年前。篠山は必死に、己の殻を破ろうとしていた。悩みぬいた先に、ようやく辿り着いた新しい自分。かつては「コントロール型」と形容されることが多かった男は、スコアリング能力という強力な武器を引っ提げ、ポイントガードとしての新境地を切り拓こうとしている。
「ここからベテランとして生き抜くためには、外がないといけないとずっと感じていたので、自分の中では良いチェンジが出来てるんじゃないかと感じています。もっと早く今のシュートフォームにしておけばよかったなって思っている自分と、色んな経験をしてきて新しいシュートフォームに出会えたからこその「今」なのかなと思う自分もいる。それは両面あるんですけど、ポジティブに今の自分のバスケを楽しめればいいかなと思っています」
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